『CABIN』はなぜ批評家から支持を集めているのか徹底考察!

分析・解説

 『CABIN/キャビン』(原題:THE CABIN IN THE WOODS)は2012年にアメリカで公開されたホラー映画です。週末に学生5人で別荘へ向かい、そこでホラー体験をするというお約束の展開で物語が進んでいきます。

 映画の評価を確認する一つの基準として、英語圏の映画批評集積サイトRotten Tomatoesがあります。それを参考にすると観客の支持率は74%と高評価とは言えない数字です。しかし、それとは対照的に、映画を専門とする批評家の支持率は92%と高評価を得ています。

 今回は、そんな『CABIN』をネタバレあり「なぜこの映画が批評家から支持をあつめているのか」を、映画分析しながら解説したいと思います。

  

お約束の設定

 今回のような学園ホラーというジャンルには、お約束事みたいなものが存在しているといわれています。このお約束事は、ルールでもなければ文法でもないので、よく展開されるものという程度で解釈していただけると嬉しいです。

 実際に、学園ホラーのお約束キャラをまとめた文献を一部引用しながら、本作『CABIN』がいかにお約束通りの設定になっているのか比較してみましょう!!

ヒロイン

お約束の設定

・母親が問題を起こしていて、現在は父親と2人暮らし。

・鉄板の処女(↑影響を受けている)。

・ガードの堅さを表現するために、ジーンズであることが多い。

『High school U.S.A』(2006, 長谷川町蔵, 山崎まどか, P110)

 【映画との比較】この映画では、母親との問題ではなく、ヒロイン(デイナ)自身が教授との恋(しかもメールでサヨナラ)のトラブルを引きずって、性的なものに嫌悪感を抱いていました。また、やはりジーンズをはいていますね!

ヒーロー

【お約束の設定】

・殺人鬼を守りぬくヒーロー。

・部活は体育会系ではあるが、寛大な心を持ち、文化系に対しても偏見を持たない。

・頼もしそうに見えるが、殺人鬼に屈服する弱さを持つ。

・Tシャツにジーンズ

『High school U.S.A』(2006, 長谷川町蔵, 山崎まどか, P110)

 【映画との比較】今回のヒーロー(ホールデン)も寛大な心を持った体育系でした。頼もしかったですね!

ジョックス

【お約束の設定】

・不死身のゾンビや殺人鬼に対して、体力で挑もうとするおバカキャラ。

・文化系を見下す。

・ヒーローと固いきずなで結ばれている。

『High school U.S.A』(2006, 長谷川町蔵, 山崎まどか, P110)

 【映画との比較】ジョックスといえば、スタジャン! 今回のジョックス(カート)もスタジャンを身に着け、ゾンビの家族に対して体力で対抗しようとしていました。

ビッチ

【お約束の設定】

・学校階級の中で王女様の位置に属する。

・下半身が緩い。

・服装は露出度が高い。

・観客に早く死んでくれと思わせるほどの怒りを買うことがある。

『High school U.S.A』(2006, 長谷川町蔵, 山崎まどか, P110)

 【映画との比較】まさにお約束通り過ぎるビッチ(ジュールズ)でした。露出度の高い服装を身に着け、ジョックスと結ばれる展開…

スラッカー

【お約束の設定】

・ビールとマリファナさえあればHappy。

・どんな状況下にいようと能天気。この能天気さが、緊張の走るホラー映画にいおいて、緩和剤の効果を発揮する。

『High school U.S.A』(2006, 長谷川町蔵, 山崎まどか, P110)

 【映画との比較】映画の冒頭シーンは、これぞアメリカのTHE スラッカーという感じでマーティが登場してきます。ふらふらした他の人とは違う雰囲気を醸し出していました。

ナード

【お約束の設定】

・分析や対策案を担当する。⇒作品によってはヒーローになることもある。

・目印はメガネ。

・観客に最も近い立場。

『High school U.S.A』(2006, 長谷川町蔵, 山崎まどか, P110)

 【映画との比較】今回の映画ではメガネ君は登場してきませんでした。しかし、その変わりにスラッカーのマーティが2役を演じていたと思います。ヒロインを助けたのは、分析担当でもあるマーティでした!

   

 これらが、学園ホラーによく登場するキャラクターの人物像です。いかにこの『CABIN』という映画が、よくある設定通りになっていたかがわかったかと思います。なぜそんな映画が批評家からの支持を集めるのでしょうか。

 それは、考察すると見えてくる真のテーマに関係しています!!

 

タイトルクレジットで真のテーマを読み解く

 これから始まる映画のことをはじめに物語っているのが、タイトルクレジットです。タイトルクレジットには、必ずと言っていいほど作り手たちの意図があります

 映画『CABIN』のタイトルクレジットが画面に映し出されるまでをみていきたいと思います。まず初めに登場するのが、なにやら失敗の原因を探る知的そうな組織の人たちです。組織の人たちが一体何をしているのかわからないまま、組織のシーンが続きます。

 すると、突然「これぞホラームービー」といわんばかりのそれっぽいタイトルクレジットが登場します。そして、その前後では映像のテイストが全く異なっています。

 重要なのは、タイトルクレジット後に学生5人が映し出され、お約束事に基づいた「THE ホラームービー」がスタートすることです。

 この映画は、タイトルクレジット前後で表現されているように、組織ホラームービーの2つに分類することができます。

 

組織はいったい何者か

 映画の物語が進むにつれてわかることは、組織はお約束の設定に基づいて映像を監視し、その映像を放送しているということです。

 「ああすれば、こうなる」「こうすれば、観ている人は喜ぶ」といった組織の人たちの経験や知識に基づき、映像作品をつくっているのです。

 これは現代のホラームービーをつくる映画業界に置き換えることはできませんか⁉

 組織は、お約束に基づいて量産する現代のホラー映画業界を暗示しているのです。

 

miniまとめ

 一見、ありきたりなストーリーが展開するだけの映画だと思うかもしれません。しかし、この映画はただの映画ではなく、現代の映画業界に対してのメッセージが含まれるものなのです。

 日本とアメリカは失敗の少ないホラー映画業界(組織)として表現されていましたが、今回の映像では失敗していました。同じキャラクターばかりで何本も作品を作っている業界を皮肉的に描いていたなと感じます。

 その中にも制作者たちがキャラクターへの愛(オマージュ)を込めているとも思います。何度も作品を繰り返して観て、いろいろ考察しましょう!!

 最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。

 

【参考文献】

『High school U.S.A』(2006, 長谷川町蔵, 山崎まどか, P110)

『ハリウッド白熱教室』(2015, ドリュー・キャスパー, 第2章ビジュアルデザイン)

【参照】

画像:フリー素材または、筆者制作イラスト

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