みなさんこんにちは。『映画という大海原』のけーてぃーです。
『千と千尋の神隠し』(2001)のモデルになったのではないかとジブリファンの間で噂されている江戸たてもの園の子宝湯に行ってきました!
インターネットで「千と千尋の神隠し / 油屋 /モデル」と検索すると、ほとんどの確率で江戸たてもの園の子宝湯がヒットします。
しかし、これは半分正確で半分間違いです。そこで本記事では、公式HPや様々な文献を参照して、映画と比較しながら、正しい情報をまとめて紹介したいと思います。
この記事は、
- もっと『千と千尋の神隠し』を楽しみたい人
- これから江戸たてもの園に行こうとしている人
- 子宝湯の何がどう映画に影響を与えたのか知りたい人
にはとてもおすすめになっていますので、是非最後までお付き合いください。
ジブリと江戸たてもの園
江戸たてもの園の子宝湯とジブリ

子宝湯(昭和4年~64年)は建築に莫大なお金をかけた、東京型銭湯の代表です。廃業後は、文化的価値の高いものとして江戸たてもの園に移築再生されました。
江戸たてもの園は、スタジオジブリのスタッフや宮崎駿監督も何度も足を運ぶことのある野外博物館です。そのこともあってか、モデルになっているのではないかと噂になっています。本当に、油屋のモデルなのでしょうか?
「油屋」のモデルはどこか、という質問に対する監督の答えは、「いろいろな温泉が入っていて、特定のモデルはない」とのことでした。
http://www.ghibli.jp/storage/diary/000060/ スタジオジブリHP, ジブリ日誌, (要点のみ)抜粋
スタジオジブリの公式HPの中に、ジブリ日誌というものがあります。そこで、『千と千尋の神隠し』の監督である宮崎駿さんは、油屋に特定のモデルがないことを断言しています。しかし、
映画の設定である「商店街の一角にそびえ立つ銭湯」について、大いにインスピレーションを与えたのは、「江戸東京たてもの園」の「子宝湯」です。
http://www.ghibli.jp/storage/diary/000060/ スタジオジブリHP, ジブリ日誌, (要点のみ)抜粋
とも言っています。つまり、油屋に特定のモデルがあるわけではありませんが、江戸たてもの園の子宝湯から、あの油屋にヒントを与えたことは間違いないことだと思います。
では、子宝湯のどこが、油屋のどこにどう影響を与えたのかをみていきたいと思います!
①神社のような建築の銭湯

赤い橋を越えた先は、神社のように立派で巨大な油屋が待っています。
『千と千尋の神隠し』の油屋は、子宝湯とは建築の大きさなどが違うものの、子宝湯の外観からイメージを得たのは間違いないと思います。
是非映画と観比べてほしいのですが、油屋は神秘的で昔ながらの日本の伝統を感じる造りになっています。油屋が不思議で、魅力的な世界に感じるのは、日本人が持つ感覚を蘇らせるからかもしれません!
私の勝手な推測ですが、油屋に神様が疲れを癒しに来るという設定は、この神社のような子宝湯の外観と、日本人の思想と深く関連しているのではないでしょうか。
②縁起のいい銭湯

子宝湯の面白いところは、お風呂以外にお金をかけているところです。お風呂だけは入れれば、湯屋として成り立つのにもかかわらず、縁起物など様々な特徴がみられます。
子宝湯には、七福神の彫刻や、富士山の壁画、松の木、鯉、など縁起物が様々です。
同じく千尋が働いた油屋にも、縁起物で溢れています。松の木の絵、日本庭園のような庭、竹、梅などが例に挙げられます。
実際に映画と比較してみたり、子宝湯に行って縁起物を探してみたりするのも、面白いかもしれません。探してみてください!
なんで油屋にこれがあるの? という東京型の銭湯の遊び心がみることができると思います。
③吹き抜けの高い天井

当たり前すぎて疑問にも浮かばないことでしょうが、なんで銭湯の浴室は曇らないのか気になりませんか⁉
答えは、天井の高さにあります。銭湯では、湯気を逃がすため、浴室の天井画高くなっています。
千尋が掃除を任された油屋の浴室の天井を見てみてください! とても高くなっています。
スタジオジブリのスタッフは、こういった細かな部分まで目を向けていることがわかると思います。普段からじっくりと観察しているからこそ、こういったイラストが描けるのかもしれません。
miniまとめ

江戸たてもの園は子宝湯のように、歴史的に価値のある建造物たくさんが展示されています。それらの建築物は、スタジオジブリの作品にイメージのヒントを与えていることは間違いないでしょう。
機会があれば、是非訪れてみてください。
今現在、新型コロナウイルスの影響もあり、実際に中に入ることができるところは少ないのですが、子宝湯には入ることができます。映画と比較してみたり、細かいところまでみてみてください!
この記事がジブリ作品をじっくり観察する手助けや、楽しみ方が増えることにつながればいいと思います。
最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。
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【参考】
スタジオジブリHP, ジブリ日誌, http://www.ghibli.jp/storage/diary/000060/
ザ・東京銭湯, 町田忍, 2009
銭湯検定公式テキスト, 2020, 町田忍 米山勇
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