SNS時代の私と自分らしさ / 映画『エイス・グレード』を考察!

分析・解説

 2018年にアメリカで公開された映画『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』は、中学生に相当するローティーンを描いた作品です。ローティーンは高校生を描くよりも難しいとされています。

 しかしながらこの作品は、英語圏の映画批評集積サイトのRotten Tomatoesで、批評家支持率99%観客支持率も83%というとんでもない高評価を獲得しています!!

 今日はそんな『エイス・グレード』のテーマを分析・考察していきたいと思います! ⚠ネタバレを含んでいるため映画を観てから記事を読んでいただけると嬉しいです。

 

主人公ケイラの人物像

 この映画の主人公は、中学卒業間近の女の子ケイラです。ティーン・ムービーでは高校生活を舞台にすることが多いのですが、この映画は珍しく中学生を中心に描いています。高校生の描写は、高校の体験入学で少し関りがあったぐらいでした。その体験入学で知り合った高校生との会話で”世代”に関するセリフがありました。この世代について分析していきたいと思います。

 ジェネレーションZ(Z世代)はアメリカの概念で、1997年以降生まれた現在(2020年)12歳~20歳前後の世代のことを言います。小さい時から携帯やスマホ、ゲーム機器、SNSに囲まれ、確立されたテクノロジー世界で生きてきた世代です。

 ケイラはまさにZ世代に生きる学生です。スマホ一つでたくさんの情報に触れることができ、世界が近くなったといえる一方、変化の著しい世の中で生活しています。数年違うだけでも、「人類が違う」とケイラは高校生の先輩に言われていました。

 Z世代に生きる人たちには様々な問題があるといわれています。もちろん期待されるいい面もたくさんあります! 今日はその中でも映画のテーマに近づくためにSNSの特徴を見ていきたいと思います。

 

SNSの特徴

 SNSがものすごい速度で普及した結果、「個」の時代ができたと思います。誰でもスマホやパソコンさえ持っていれば、簡単にアカウントを持つことができ、オープンな形でいつでも動画や写真、自分の意見を投稿・共有することができます。Z世代に生きる私たちは、発信することのハードルが低いかもしれません。そしてその手段は多岐にわたります。『エイス・グレード』でも、様々なSNSが登場してきますのでその特徴を押さえておきましょう!

Facebook

 ユーザー数世界一を誇るSNSです。人とのつながりを大切にするため、実名かつ社会的地位などを明確にして使っているユーザーが多いという特徴があります。

Instagram

 写真を撮って自分の体験をシェアするため、ビジュアル要素の強いSNSです。若者や女性に圧倒的な支持率を集めています。撮った写真をストックしていくため、アカウントに独自の世界観をつくることができる特徴があります。また、いいね機能も特徴的です。

Twitter

 リアルタイムの感情を共有し、盛り上がりを見せているSNSです。匿名に字数制限と、投稿のハードルの低さが特徴的です。

 

SNSとアイデンティティの形成

 SNSは私たちのアイデンティティの形成に影響を与えているものだと私は考えます。SNSは自分の考えや感情を共有し発信する媒体です。共有や発信を行う際、どう見られているのかを確認しているのではないでしょうか。

 SNSの変遷史(天野彬, 2019, イースト・プレス)という本では、SNSで私たちは「アイデンティティの確認と再構成をしている」と分析しています。

 SNSで写真を共有するために体験の一部を写真に残し、ありたい自分をSNSで形成している。また、SNSに載せた写真が私であると、SNSでアイデンティティの確認を無意識のうちに行っているのです。

 例えばInstagramのストック性機能を用いて、おしゃれな自分の世界観を作ることで、現実の自分もおしゃれであると確認していると言えます。また、トレンドのものを発信することで、自分が流行に感度の高いことを「いいね」で確認しているといえると思います。 

 

作品のテーマを考察

 映画はケイラがYoutubeで投稿した動画から始まります。そのタイトルは”自分らしさ (Be Yourself)”です。しかし。ケイラこそ自分らしくいられていない人物だと思います。

 Youtubeに自分の意思を発信しているケイラ(オンライン上)ですが、学校(現実)では生徒の投票で選出される最優秀賞で無口賞を獲得しています。本当の自分はどちらでしょうか。

 Youtubeやスナップチャット、Instagramで様々な自分を形成してきた主人公ケイラ。無理をしてまで様々なSNSを用い、本当の自分がSNS上の自分であるとしていました。また、インフルエンサーと呼ばれる著名人の動画やSNSを見て、自分と比較し、無理をしてまで彼らみたいな私を形成していたと私は感じます。

 しかし物語の最後、父と語り合う場面でこれから「自分らしく生きる」ことを決めます。自信のなかったケイラですが、「ありのままの自分」でいてもいいことに気がついて行きます。ここがこの映画のテーマではないでしょうか。

 SNSで形成する強がった自分ではなく、ありのままの自分でも素敵だと訴えていると私は感じました。

 

miniまとめ

 スマホが普及してから、世の中が著しく変化していると感じます。SNSはその一つの要因です。この記事では、SNSの使い方として相応しくないと考えられる点ばかり書いてきました。しかし『エイス・グレード』もこの記事も、SNSの批判をしているのではありません。

 中学生のケイラがどのように悩んで成長したのかをこの映画で感じてほしいと思いました。この記事がその契機になったら嬉しいです。

 最後まで記事を読んでいただきありがとうございました!

 

【参照】

画像:すべてフリー素材

【参考文献】

『SNSの変遷史「いいね!」でつながる社会のゆくえ』 天野彬, 2019, イースト・プレス

 

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