『パラサイト 半地下の家族』 を読み解くキーワード『象徴的』を考察・批評

分析・解説

 世界三大映画祭の一つであるカンヌ国際映画祭。そのカンヌ国際映画祭(第72回)で最高賞パルムドールに輝いた作品は『パラサイト 半地下の家族』でした。受賞はこれにとどまることなく、その他映画祭を席巻‼ そんな世界中で大注目を集めた『パラサイト 半地下の家族』を考察したいと思います。

 まだ映画を観ていない人は絶対にこの記事を読まないでください! 映画を考察・批評する上である程度のネタバレの回避は避けられないので、これより先は既に鑑賞した人のみでお願いします。

 

『象徴的』な映画『パラサイト』

  山水景石をみて「象徴的だ(metaphorical)」と呟く。また、パク社長の息子が描いた絵画を「象徴的」と表現する。このように、この映画では「象徴的だ」というセリフが何度も使われています。これは監督から私たち観客に向けての何らかのサインではないでしょうか⁉

 実際、映画には同じセリフをあえて使う手法があります! これは、同じ言葉を繰り返すことで「物語の鍵になるぞ!」と私たちに伝えてくれているのです。そんな重要なサインを見逃すワケにはいきません。ではその言葉の意味をみていきましょう!

象徴: 抽象的な思想・観念・事物などを、具体的な事物によって理解しやすい形で表すこと。また、その表現に用いられたもの。

https://dictionary.goo.ne.jp/word/象徴/

 象徴という言葉のエッセンスは、同じquarityを持っている2つ以上のもの普段とは違った表現(powerful description)で伝えるということではないでしょうか⁉

 映画のシーンを具体例をあげれば、

「財運と学業運をもたらすアイテムとしての山水景石(象徴的)」

「人を殺す武器としての山水景石(重い石)」

「川の中にある(物質的)」のように何層もの意味を持ちます。そしてその意味の価値観は人それぞれなのです。

 この『何層にも意味を持つ』ことがポイントになってきます! 実際、この映画ではいろんなものが象徴として用いられています。しかもその表現されたものは何層もの意味を持っているのです。

 

二極化した階級

 この映画で象徴されているのは石だけではありません。「高所得で豪邸に住むパク家族」と「低所得で半地下に住むキム家族」。韓国の社会問題である格差社会が二極化されて象徴されています。

 韓国社会を考察するために、韓国の現代史の変貌を見ていきたいと思います。韓国は、日本からの独立後に、戦争・軍事政権・民主化・経済破綻・グローバル化・情報化と何度も「計画」「革命」を繰り返してきた歴史を持ちます。

 1961年から79年にかけての経済成長率は10%と急激な都市化をみせます。96年には韓国がOECDに加盟し先進国に仲間入りを果たしました(=世界化戦略)。しかし、翌年の79年には経済危機に直撃し、政府はIMFに救済をもとめることに。これらの出来事が積み重なり、韓国は格差社会になってしまいました。

 また、韓国はこの映画のように所得による家族間の二極化だけでなく、都市化による地域間の格差といったようにいびつな構造を持っています。さらに、仕事を求めて都市部に移住することによって日雇いの増加や都市部の住宅不足にも陥っています。

 住宅不足によって半地下の暮らしが認められた韓国は、『パラサイト』冒頭のような生活が相当な割合を占めています。

 しかし、日本のホームレスの方が多いのも現実問題として忘れてはいけません! 韓国社会を象徴しながらも今の世界各国の問題・民主化も象徴しているかもしれませんね。 

 

タイトルの意味

 『パラサイト (parasite)』とはいったい何を象徴しているのでしょうか? 辞書の一番上に出てくる意味の『寄生虫』でしょうか? 

 一見、『半地下の家族』⇒『豪邸』と矢印の方向に向かってパク家に寄生することを示していると思うかもしれません。しかし、この映画の構造のようにタイトルも一義的な意味ではないのです。

 『parasite』には以下の意味も持ちます。

a person who always relies on or benefits from other peopleang nothing gives back

Oxford Advanced Learner’s Dictionary 現代英英辞典 第10版

 簡単に要約すれば、誰かに頼っぱなしだけの人のことを指しています。確かに半地下に暮らすキム家は、現代社会で寄生虫と非難されるようなことをして共存・格差の克服を目指したかもしれません。しかし、寄生していたのはキム家だけでしょうか?

 『豪邸』⇒『半地下の家族』と矢印の向きを変えることができると思いませんか? 家政婦に家庭教師にタクシードライバーに…

 私たちは常に誰かと助け合いながら生きています。一人暮らししている私も、様々な人に助けられています(←関係ない脱線)。それを格差社会の場合低階層に対して『寄生虫』と非難するのはどうなのでしょうか? 私たちがしている行動について考え直す必要を私は感じました。

  

miniまとめ

 単に一義的に『寄生虫』を観るのではなく、様々な意味を考えて映画を観ると本当に発見がたくさんあります。

 私はこの記事を書いてて少し嫌になりました。2400字書いても、映画の何も語っていません。象徴の石とタイトルで2400字。もちろん映画は石とタイトルでできているわけではありません。書きたいことが多すぎて書ききれないのです(笑)。

 書きたいことが多すぎて『パラサイト』の記事をテーマごとに分けることにしました! もしこの記事を気に入ってもらえたらほかの記事も見てみてください。

 今日は最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

【参照】

その他画像:フリー素材

【参考文献】

韓国現代史 文京洙著 岩波新書

 

 

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